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あちらこちら in 箱根

日時:8月5日(金)17:00 開演

会場:NARAYA CAFE

石橋恵美(声楽ソプラノ)、北澤華蓮(ヴァイオリン)、水野翔子(コントラバス)

酒井直之、豊田ゆり佳(ダンス)、篠原美奈(プロデュース)

​写真提供:蛍光資料

本公演は「箱根おんがくの森2022」のプログラムの一環として実施されました。

会場となったNARAYA CAFEは、足湯と珈琲と、雄大な自然、そして時折聞こえる登山鉄道の音が印象的でした。

足湯に浸かっていたら、夕方5時に流れる《箱根八里》がよく聞こえてきました。そのあっけらかんとした明るい音楽がなんだか妙に意味深に聞こえてしまい、本公演の出発点となるアイデアをもらった気がしています。

本公演の時間は、ちょうど昼から夜に移り変わる時間だったので、安直ですが、そういう「淡い」を表現することに適しているのではと思いました。「あちらこちら」もはじめは「境界線」というプロジェクト名を名乗っていたのですが、演奏家と鑑賞者、あるいは音楽とそうでないものなど、様々な「淡い」を探求することを目的としていました。その一つとして、演奏家にとっての「演奏」は楽器を弾くことだけではなく、また、ダンサーにとっての「ダンス」は音楽に合わせて体を動かすことだけではないのではないか、という問いかけをしていきたいと思っています。私たちが何をパフォーマンスとして捉えているのか、そして皆さんが何をパフォーマンスとして見ているのか。本公演では、日常的行為を表現として行うことで、勝手ながらその問いを皆さんと共有させてもらいました。

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出来上がったパフォーマンスは、何も始まっていないように見えて、誰も登場していないように見えて、すでに始まっているというものでした。それを音楽祭の一環としてやってみたという思いがありました。カフェの利用者がたくさん居て、珈琲を飲んだり、足に使ったり、風景やちょっと遊び心のある造りの椅子や座敷を楽しむなど、いろんなことをしている人がいるからこそ「紛れたら面白そうだな...」といたずら心を揺さぶられた背景があります。NARAYA CAFEだからこそ存在しうる「淡い」があるような気がしたのです。これまでの公演のように、パフォーマンス全体を記録したり、プログラムとして紹介するのが難しかっため、そんな裏事情をここにひっそりと載せておきたいと思います。


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